日本政策金融公庫の創業融資の金利を徹底分解!

税理士、大山俊郎です。

 

この記事では、日本政策金融公庫の創業融資の金利を、制度ごとに分かりやすく徹底的に分解していきます。

 

あなたが日本政策金融公庫の創業融資を受けるならば、金利のことを正しく知っておいたほうがよいです。

なぜならば、創業融資を受けたあとに金利を支払うのは、他でもないあなたですから。

 

日本政策金融公庫の創業融資は、ほかの金融機関の金利に比べればたしかに低いです。

しかし、創業融資には色んな種類があり、要件に応じて金利も変わってきます。

実際に借りてから、「あれ、金利ってこんなに高かったっけ?」なんて思っても後の祭りです。

 

ですから、金利のことを正確に知り、自分がどの金利で返済をするのかを事前にイメージできるとよいですね。

 

それでは、詳しく見ていきましょう。

 

 

日本政策金融公庫の創業融資の金利が変わる要因

 

これから創業融資の金利を制度ごとに説明していきますが、その前に創業融資の金利が変わる要因について説明します。

日本政策金融公庫の創業融資の金利が変わる要因は、以下の2つだけです。

 

①担保・保証人を立てるかどうか

②特別利率の適用を受けるかどうか

 

これらを詳しく説明しますね。

 

 

日本政策金融公庫の創業融資の金利が変わる要因①:担保・保証人を立てるかどうか

 

日本政策金融公庫の創業融資の金利は、担保・保証人を立てることで低くなります。

担保・保証人を立てるということは、事業主自身がリスクを背負うことになります。ですから、そのぶん金利も低いのです。

 

日本政策金融公庫の創業融資には、「新創業融資制度」という無担保・無保証の制度があります。無担保・無保証で創業融資を受けられることは、資本も乏しい起業家にとっては救いですよね。

 

しかし、無担保・無保証というのは、日本政策金融公庫にとってはリスクとなります。

 

なぜならば、万が一あなたが途中で返済できなくなったとしたら、日本政策金融公庫としては一銭の得にもならないからです。だとしたら、日本政策金融公庫がリスクを背負う分、金利は高く設定されるわけです。

 

日本政策金融公庫の創業融資の金利が変わる要因②:特別利率の適用を受けるかどうか

 

日本政策金融公庫の創業融資は、何の要件もなければ「基準利率」という一番高い利率が設定されます。

 

ところが、ある一定の要件を満たすことができれば、「特別利率」という基準利率よりも低い利率が設定されるのです。特別利率が適用される要件は、創業融資の制度によって異なるので、後ほど詳しく解説しますね。

 

 

新規開業資金の金利比較

 

ここからは、いよいよ創業融資の制度ごとに金利を徹底的に解説していきます。

はじめに、新規開業資金の金利から見ていきましょう。

 

新規開業資金は、7,200万円を限度として融資を受けられる制度です。

主に、会社員時代に培った経験を活かして起業される方ならば、新規開業資金を利用するのがおすすめです。

 

新規開業資金の金利は、以下の表の通りとなります。

ちなみに、新規開業資金の用途として認められるのは、「運転資金」と「設備資金」だけです。

それ以外の用途で融資を受けるのは不可能ですのでご注意ください。

 

 

表を見ていただくとわかりますが、無担保・無保証よりも担保・保証人を立てるほうが金利は低いです。また、新規開業資金の場合には、特別利率A、特別利率Bというものがあります。これらが適用されれば、金利をさらに低くできます。

 

気になることとしては、どうすれば特別利率A、特別利率Bが適用されるのかですよね。

 

それをこれから説明していきますね。

 

 

新規開業資金で「特別利率A」の適用を受けるための要件

 

新規開業資金で特別利率Aの適用を受けるためには、以下4つの要件のうち、いずれかを満たす必要があります。

 

・産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援事業を受けていること

・地域創業促進支援事業または潜在的創業者堀り起こし事業の認定創業スクールによる支援を受けていること

・Uターン等により地方で新たに事業を始める場合

・中小企業基盤整備機構が出資する投資事業有限責任組合から出資を受けていること

 

 

新規開業資金で「特別利率B」の適用を受けるための要件

 

あなたが手がける事業に対して、技術・ノウハウ等に新規性がみられる場合には、特別利率Bの適用を受けることができます。

 

「技術・ノウハウ等に新規性がみられる」というのは、簡単にいえば今まで世の中になかった新しいものを開発することです。

例えば、特許権や商標権を取得しているものを利用したり、研究開発により新製品を生み出すような事業が該当します。

 

ちなみに、あなたの事業が技術・ノウハウ等に新規性のあるものならば、後述する挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)が適用される可能性もあります。

 

 

女性、若者/シニア起業家支援資金の金利比較

 

名前の通りなのですが、女性、若者/シニア起業家支援資金は、女性または35歳未満か55歳以上の方が対象となる創業融資です。女性、若者/シニア起業家支援資金の方が、新規開業資金よりも金利が低く、事業内容の要件も比較的緩めなので、対象となってる方は積極的に活用していただきたいと思います。

 

女性、若者/シニア起業家資金の金利は、以下の通りです。

 

 

女性、若者/シニア起業家支援資金で「特別利率A」の適用を受けるための要件

 

女性、若者/シニア起業家支援資金の場合、運転資金、設備資金を用途に融資を受けるならば、無条件で特別利率Aが適用されます。

積極的に活用した方がよいと言った理由は、そこにあります。融資が決まれば、自動的に特別利率Aの適用になるからです。

 

ただし、事業資金の用途が運転資金、設備資金でなく土地取得資金の場合には、基準利率が適用されますのでご注意ください。

 

 

女性、若者/シニア起業家支援資金で「特別利率B」の適用を受けるための要件

 

事業に対して技術・ノウハウ等の新規性がみられる場合には、特別利率Bの適用が受けられます。

この点は、新規開業資金と同じですね。

 

 

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)の金利比較

 

挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)は、それ単体で利用できる創業融資ではありません。

新規開業資金、女性、若者/シニア起業家支援資金を利用するかたが一定の要件を満たすことで、資本性ローンを利用することができるようになります。

 

資本性ローンは、無担保・無保証であり、分割返済ではなく期限一括で返済できるのが主な特徴です。

その特徴から、資本性ローンは開発型のベンチャー企業によって利用されることが多いです。なぜならば、開発型のベンチャー企業は開発から製品化までのリードタイムが長くなることが見込まれるからです。製品開発に時間をかけたいけれども、その間は売上が立たない。そうなると、起業の初期段階では返済をしたくても返済しようがありませんよね。

 

資本性ローンの金利は、以下の表にまとめた通りです。

 

 

 

 

資本性ローンの金利の特徴は、年ごとの業績に応じて金利が変わってくるということです。

ですから、その年の業績が芳しくなかったとしたら、翌年の金利はそのぶん低くなるわけです。

 

参考資料:日本政策金融公庫 ベンチャー企業向け融資制度のご案内

 

 

中小企業経営力強化資金の金利比較

 

中小企業経営力強化資金は、認定支援機関から支援を受けた人だけが利用できる創業融資です。

 

 

中小企業経営力強化資金は、新創業融資制度と同じく無担保・無保証で利用することができます。

しかし、金利は新創業融資制度に比べると、中小企業経営力強化資金の金利の方が圧倒的に低いです。

 

ただし、無担保・無保証で利用できるのは、融資額が2,000万円以内に限られますので、その点は注意したいですね。

 

 

中小企業経営力強化資金の金利を0.1%下げる方法

 

中小企業経営力強化資金の金利を、さらに0.1%低くする方法があります。

それは、中小企業の会計を適用することです。

 

「中小企業の会計を適用する」とは、「中小企業の会計に関する基本要領」という中小企業向けの会計ルールに即して決算を行うことです。

まあ、いきなり会計ルールを覚えろと言われても、無理がありますよね。そこで頼りになるのが認定支援機関の存在です。

 

認定支援機関は、創業融資の際に創業計画、事業計画の策定をサポートしてくれるだけでなく、あなたが中小企業の会計を定着できるようにサポートしてくれます。

 

中小企業の会計をすでに適用している方だけでなく、「適用を予定している方」でもオッケーです。

ですから、少しでも中小企業の会計を適用してみようかなという気持ちがあるならば、利用してみてもよいかもしれないですよ。

 

 

まとめ

 

日本政策金融公庫の創業融資の金利を、制度ごとに解説してきました。

いずれの創業融資においても、担保・保証人を提供するかどうか、特別利率の適用を受けられるかによって金利が変わってきます(資本性ローンは例外ですが)。

 

あなたの事業と照らし合わせて、どの創業融資をどれくらいの金利で利用できそうですか?

金利のイメージが少しでも湧いてくればオッケーです。

 

それでも創業融資について少しでも不安な点があれば、専門家に相談するのが一番です。

僕の事務所は、起業家向けに創業融資を数多くサポートしてきました。

起業家のあなたの目線に立って、丁寧な対応をさせていただきます。

 

 

税理士、大山俊郎でした。

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